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徳島地方裁判所 平成6年(わ)146号 判決 1994年8月31日

本店所在地

徳島県板野郡松茂町長原二七〇番地の三

坂崎海運株式会社

(右代表者代表取締役 坂﨑和子)

本籍

同所

住居

同所

会社役員

坂﨑理一郎

大正一五年八月七日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官小畑勝義出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人坂崎海運株式会社を罰金一七〇〇万円に、被告人坂﨑理一郎を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人坂﨑理一郎に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人坂崎海運株式会社(以下「被告会社」という。)は、徳島県板野郡松茂町長原二七〇番地の三に本店を置き、船舶による運送事業、砂利の採取・運送販売事業等を営む資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人坂﨑理一郎(以下「被告人」という。)は平成六年五月一日まで被告会社の代表取締役として被告会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するとともに架空仕入の計上や棚卸除外などの方法で所得を秘匿したうえ

第一  平成二年二月一日から平成三年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二五七一万二九八四円であり、これに対する正規の法人税額が七四七万九三〇〇円であるにもかかわらず、平成三年三月二八日、徳島県鳴門市撫養町南浜字東浜三九番地の三所在の鳴門税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一一一五万一六一四円でこれに対する法人税額が一六五万四九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成六年押第三五号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって右不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額五八二万四四〇〇円を免れ

第二  平成三年二月一日から平成四年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億八九五六万三四八〇円であり、これに対する正規の法人税額が六八一六万六五〇〇円であるにもかかわらず、平成四年三月三〇日、前記鳴門税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億七三四万七二三七円でこれに対する法人税額が三七三三万五五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって右不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額三〇八三万一〇〇〇円を免れ

第三  平成四年二月一日から平成五年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九一八六万一五七一円であり、これに対する正規の法人税額が三一九八万九八〇〇円であるにもかかわらず、平成五年三月三一日、前記鳴門税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二一四六万四六四八円でこれに対する法人税額が五五九万九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって右不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額二六三九万八九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

以下、( )内の番号は、各書証の始めの頁の欄外に検察官請求の証拠等関係カードの番号として記載されたものである。

判示事実全部について

一  被告会社代表者及び被告人の当公判廷における各供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  坂﨑慎一及び坂﨑惠の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書(六通、61、63、64、66、67、68)

一  大蔵事務官の被告会社代表者に対する質問てん末書(71)

一  大蔵事務官の坂﨑慎一(七通、31、32、33、34、37、38、39)、坂﨑惠(六通、41、42、43、44、45、47)、胡子喜久子(二通)、親川秀雄に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の売上調査書、雑収入調査書、仕入調査書、運賃調査書、雑費調査書、支払利息調査書、損金算入利子割額調査書及びその他の所得調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書二通

一  登記官作成の商業登記簿謄本二通

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(8)

一  押収してある確定申告書一冊(平成六年押第三五号の1)

判示第二及び第三の各事実について

一  大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書(二通、62、65)

一  大蔵事務官の被告会社代表者に対する質問てん末書(70)

一  大蔵事務官の坂﨑慎一(35)、坂﨑惠(46)、山本俊夫、新浜義子、小﨑正子及び元木政一に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の受取利息調査書、修繕費調査書、消耗品費調査書、燃料費調査書、公租公課調査書、棚卸商品調査書、損金算入利子割額調査書及び事業税調査書

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(9)及び減価償却超過額調査書

一  押収してある確定申告書一冊(前同号の2)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官の坂﨑慎一(36)、森本穣及び工藤ひで子に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(10)及び雑損失調査書

一  押収してある確定申告書一冊(前同号の3)

(法令の適用)

一  罰条

(一)  被告会社 いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項

(二)  被告人 いずれも法人税法一五九条一項

一  刑種の選択 被告人につきそれぞれ懲役刑を選択

一  併合罪の処理

(一)  被告会社 刑法四五条前段、四八条二項

(二)  被告人 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

一  執行猶予 被告人につき刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 白石史子)

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